日本では古くから新卒採用を行ってきた。明治時代に慶応義塾大学の卒業生を三菱が採用したことが新卒採用のはじまりとされているが、それ以来、昭和恐慌、第一次オイルショック、バブル崩壊という谷を越えて、崩れることなく、むしろ強固なものとなって新卒採用は継続してきた。なぜ企業は新卒採用を重視するのだろうか。そこにはいくつかの理由がある。第1には、大量の人材を効率的に採用できる唯一の機会だということである。一度に数十名、あるいは数百名という人材を採用しようとしたら、新卒採用を除いては考えられない。
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新卒者は同時期に就職活動をしていっせいに入社してくるため、採用選考の効率もよく、入社後の導入教育の効率もよい。外資系企業やベンチャー企業が成長するにつれて中途採用から新卒採用にシフトしていくのも、この大量採用と効率性が魅力的だからである。第2には、企業のコアとなる人材をつくる方法として優れているということだ。人材のポートフォリオ化(求める技術レベルの高低、業界内の事情に精通している度合などを基準として、さまざまな形態の人々を使い分ける方法)が進み、正規社員に求めるものはどんどん高度化している。そのような期待をかけられるだけの可能性を持った人材とコンタクトできるのは、新卒時をおいて他にない。また年次ごとに最低限必要となる人材数を確保してゆくのに、毎年同じタイミングでほぼ同じ年齢の人材が採用できる新卒は管理しやすいのである。