データを見れば、学生たちも企業から発せられるメッセージとして、「企業は学ぶ力、大学での学業成績を重視していない」と感じてしまうし、さらに先生や先輩から「勉強だけできても企業では通用しない」などと聞かされると、いよいよ勉強より就活を優先させることになってしまうのだ。かくして採用面接の場は、今や壮大なる演技の場と化している。自己PRでは企業の面接官が「素の自分を語って欲しい」と要求しているのに対し、自信のない学生は就職マニュアル本を参考にしつつ、抽象的表現で「あるべき人材」を演じることになる。
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「学生時代に打ち込んだこと」と聞かれ、アルバイトやサークル活動の経験を膨らませて、「一〇〇人ほどのサークル活動の代表を務め、リーダーシップ力がつきました。これを御社の仕事でも精一杯発揮していきたいと思います」、「全国大会で優勝しました」、「アルバイトの接客で、コミュニケーション能力が身につきました」などと目一杯アピールする。また「志望動機は」と聞かれ、消費財メーカーやエンタテインメント業界志望に多いのだが、「御社の商品が昔から大好きでファンです」などと入社したいという熱い思いを語るのである。体験談や苦労話を誇張したり、話をつくるなど企業に合わせて人格をつくる茶番を演じてみせるのは、もはや当たり前になっている。しかし、企業は単なるファンはいらないし、面接官は珍しい体験や優勝経験を聞こうとしているわけではない。見ているのは勉学やサークル活動などで、どんな思いで取り組んできたのか。それでどれだけ成長したのか。どんな価値観に気がついたのか、といったことである。それをマニュアル本を参考にして下手な演出をするから、練達した面接官によってすぐに化けの皮がはがされるような茶番を繰り返すのだ。人間力をもっぱら評価の俎上に載せて合否を決められるから、面接で何度も落とされると学生たちはあたかも人格を否定されたような錯覚に陥り、就活ブルーに追い込まれるのである。学生が大学で身につけた専門的知識や能力を尊重した、透明性の高い採用に切り替えていけないものなのか。